皆さんこんにちは。
おはなし聴き屋オリーブ、終活カウンセラーの佐藤です。
今日は、より良くおだやかな日常生活をすごすためのお話です。
プライベートやビジネスで感情に任せて怒ってしまい後悔したことはない
だろうか。
アドット・コミュニケーション代表取締役の戸田久実さんは「怒りは自然の感情、
うまく付き合おう」と、アンガーマネジメントで
自分の感情を押しつけずに相手へ上手に伝えることを提案する。
戸田さんに「怒り」との賢いつきあい方を聞いた。
あんな怒り方をしなければよかった、
あのときに怒っておけばよかった、と後悔することは誰にでもあることだと思います。
アンガーマネジメントとはこうした怒りで後悔しないことを目指します。
怒らないことではなく、怒りに振り回されずにうまく付き合えるようになるための
心理トレーニングです。
怒りは感情表現の一つであり、うれしい、楽しい、寂しいといった感情
と同レベルのものです。心と体の安心・安全がおびやかされるときに身を
守るための防衛感情ともいわれています。
また、怒りの感情の裏側には不安、つらい、苦しい、疲れたなどの一次
感情が潜んでいます。その一次感情が満たされないときに怒りという二次
感情を使って対応することがあるのです。
怒るのは決して悪いことではありません。ただし、怒りに振り回されて、
怒るべきものかどうかを区別できていないことと、
怒り方が問題になってきます。怒りのピークは長くて6秒で、6秒間やり
過ごせば衝動的な行動をしにくくなります。
そのために深呼吸をする、数をかぞえるなどの様々なテクニックがあります。
■怒りに振り回されない
明確、具体的に伝える
では、実際に怒りに振り回されずに自分の言いたいことを上手に伝える
にはどうしたらよいのかを紹介します。
まず、伝えたい論点を明確にして、的を絞ってください。そうでないと、
あなたが感情的にキレたと思われがちです。次に具体的に表現することで
す。「何」を「どうしてほしいのか」、それは「なぜ」なのかを分かりや
すくシンプルに伝えることです。「次からはこうすればいい」と相手が分
かるメッセージが大切です。
戸田久実さんは伝えたい内容を怒りで濁らせてしまわない話し方をコーチ
した。
部下を叱るときを想定してください。目的は相手の成長を願って、意識
や行動を改善してほしい、そして挽回への励ましだと思います。
決してたたきのめすためではありません。
メッセージが抽象的だと相手に伝わらず、こちらの思った行動をして
くれないことが多いです。「ちゃんと報告しろ」
「しっかり段取りを組め」「もっとやる気出せ」などはNGです。
客観的事実を伝えることも大切です。例えば、「いつも約束を破る」と
部下を叱る上司がいるとします。100%の事実でなかったら言うのは避け
たほうがいい言葉です。
相手は「『いつも』じゃない」と反発しかねませんし、「約束は守って」
という本来のメッセージがぼやけてしまいます。
言葉を発する前に、「今言おうとしていることは事実か?」と自身に
問いかけてみることです。
そして、「私」を発信源にすることも意識しましょう。
例えば「(あなたは)なんで〜しなかったの?」と言われると、相手は
自分の領域に踏み込まれた、責められたと感じるからです。
「(私は)〜してほしい」と伝えたほうが率直に伝わります。
さらには、ノンバーバル(非言語)コミュニケーションを一致させるこ
とです。言葉は同じでも、どのような態度や言い方で表現するかによって
相手への伝わり方は違います。たとえば言いにくいことを、笑顔で言うと、
相手に真意は伝わらず、戸惑わせることになりかねません。
■共感して理解を深める
自分の感情を押しつけない
さて、怒りの感情に振り回されずに自分の意思を上手に
伝えるには、相手とどのように向き合っているか、マインド面も
振り返ることも重要です。
まず、ネガティブな思い込みにとらわれることはないですか?
たとえば「どうせ言っても分かってもらえないに違いない」
「こんなことを言ったら嫌われる」と思うことです。
「伝わる」「分かってくれる」と自分も相手も信じてみることからスタートしましょう。
相手と意見が食い違い、同意できない場合もありますが、共感して理解
する姿勢も重要です。
理解の言葉例として「○○さんは〜と思うのですね。〜したいということですね」
などがあります。相手の主張・価値観に全部
同意する必要はなく、同意できなくても「今こういうふうに理解したよ」
というメッセージを伝えることが大切なのです。
また、伝えるときは「私が正しい」という自分の正義を押しつけるのではなく、
「分かってほしい」という思いを持って向かい合いましょう。
自分の感情を「言わない」という選択肢があることも知っておきましょう。
「言えない」と「言わない」は違います。これは言わなくてもいい、と決
めたら後悔しないこと、自分自身で判断し責任を取る姿勢が大切です。
アンガーマネジメントは怒らなくてはいけないものに関しては上手に怒る
ことができ、怒る必要のないものは怒らなくて済むような、見極めを目指
します。 怒りという感情は自分が生み出したものです。
自分の感情に責任が持てる人、怒りに振り回されずに自分の意思をうまく
伝えられる人を目指してください。
(日本経済新聞2017/8/9 電子版より抜粋)